共通の敵によって結びついた愛が続かない理由

彼女と彼が付き合うようになったのは、こういうきっかけからでした。

二人はもともと同じ職場の同僚でした。
初対面のときの印象は、お互いに、

「良さそうな人だけど、好きとか嫌いという感情はない。
恋愛の対象としては考えにくい。趣味や価値観もまったく違う人だし」

といったものであったのです。

しかし、そんな二人が、やがて愛し合うようになったのです。これはなぜでしょうか。

職場の上司に、とてもイヤな人間が一人いたのです。

神経質で、細かいことにうるさく、ネチネチとした人です。
二人とも、この上司が大嫌いでした。

また特にこの二人が、この上司から目をつけられて、
ネチネチと攻撃されることが多かったというのです。

さて二人は、いつの間にか、仕事が終わってからどこかのレストランで落ち合って、
この上司の悪口に花を咲かせるようになったのです。

上司の悪口で意気投合したというのでしょうか、
関係が急に親密になり、互いに親しくなったというのですね。

しかし二人の関係は、長続きはしませんでした。

女性が他の会社に転職したのをきっかけに、「もう別れましょうか」 という話が
持ち上がって、自然消滅してしまったというのです。


実は、この事例のように、「共通の敵」 によって結ばれた恋愛も長続きはしない、
と心理学ではよく言われているところなのです。

理由は簡単です。

お互いに 「共通の敵」 が存在するときはいいのです。

しかし、この場合、女性の転職によって 「共通の敵」 という存在がいなくなってしまったとき、
もともと 「趣味も価値観もまったく違う」 「恋愛の対象として考えにくい」 二人で
あったのですから、うまくいくはずがないのです。

初めから、本当の愛は育ってはいなかったのですね。

ところが男と女の関係は不思議なもので、まったく正反対に、「共通の敵」 の存在が
あるからこそ二人の関係は長続きすると結論づけた心理法則もあるのです。


ある調査では、愛し合う男女が結婚するとき、多少親の反対があったほうが、
その後の結婚生活が円満になるという効果も得られているのです。

この結果を、「ロミオとジュリエット効果」 と呼ぶ心理学者もいます。

「ロミオとジュリエット」 は、ご存知のようにシェイクスピアの、結婚に反対するお互いの親に
反抗し、ますます激しく恋愛感情を燃え上がらせていく若い男女の悲劇の物語です。

この場合 「共通の敵」 というのは、結婚に反対する親ですが、
この親の存在によって愛し合う二人の関係が強まり、また深まるというのですね。

では 「共通の敵」 があることで、恋愛感情は長続きするのか、しないのか。

正解は、どちらなのでしょうか。

あなたには、もう、この違いは、おわかりのことと思います。

「共通の敵」 の存在は、本当の愛がない二人を結びつけてしまうこともある。
しかし、そういう恋愛は長続きしません。

しかし、二人が 「運命の人」 同士で本当の愛で結ばれていれば、
「共通の敵」 の存在によって二人の関係はより強固なものになるのです。


先に、多少の障害があるほうが、恋愛は長続きすると述べました。
このような心理法則を 「認知的不協和」 と呼ぶと言うことも述べました。

この場合の 「共通の敵」 は、恋愛を長続きさせるための障害として役立っているのです。
大切なのは、「本当の愛」 があるかどうか、ということなのです。

これは、あなたが、自分の胸に手を当てて考えてもらうしかありません。

あなたの彼へ寄せる愛が本物かどうか、ということをです。
その愛が本物、本当の愛であるという確信が持てれば、
彼とあなたとの 「共通の敵」 の存在は、むしろ歓迎すべきものになるでしょう。

父親に 「あんな男との結婚は許さん」 と言われることもあるかもしれませんが、
運命の人同士の場合、そのような父親の言葉は、むしろ歓迎すべきものなのです。

あなたの愛を 「永遠の愛」 に育ててくれる、大切な栄養分になる言葉なのですから。


◆まとめ
本当の愛があれば、親に二人の結婚を反対されることで、二人の愛は大きく育つ。
多少の障害があったほうが、恋愛感情は強固なものになる。




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